経営再建中の東芝は16日、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。6万6000人(24年3月末)いる国内従業員の約6%に当たる最大4000人を削減することを盛り込むとともに、現在、東京都港区と川崎市にそれぞれ置く本社事務所を川崎に集約。電力やインフラなど主要事業ごとに分かれている四つの子会社も統合する方針で効率化を図るとともに、構造改革を進める。
東芝は15年に不正会計が発覚して以降、経営の混乱が続いていた。昨年12月に株式を非公開化し、日本産業パートナーズ(JIP)の傘下で再建を目指している。
新しい中期経営計画は「東芝再興計画」と銘打った。コスト削減に加え、長年の東芝の課題とされる「内部硬直性の打破」を狙う。
本社の集約は25年9月までに行う。移転先はJR川崎駅西口近く。港区芝浦1丁目にある本社は現在、賃貸で入居しているが立ち退く。
また、総務、経理、調達など間接部門の組織数を2割削減する。人員削減は満50歳以上を対象に、早期希望退職者を募る。退職時期は11月末までとし、今後、労働組合と協議を行う。
島田太郎社長は16日の説明会で「苦渋の決断だが、社会に求められる企業体に変身しなければならない。再興を実現するために渾身(こんしん)の力を込める」などと述べた。
計画では27年3月期に24年3月期比9・5倍の営業利益3800億円を目指す。電気自動車(EV)などに使われるパワー半導体などを強化して、再成長を図るとしている。
一方、16日に発表した24年3月期連結決算は、最終(当期)赤字が748億円だった。スマートフォン向けメモリー需要の低迷が続き、4割出資する半導体大手キオクシア(旧東芝メモリ)の業績悪化が響いた。売上高は前期比2%減の3兆2858億円だった。【安藤龍朗、道永竜命】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。