米ボーイングの小型機「737MAX」は受注・納入で欧州エアバスの対抗機種に後れを取る=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】航空機大手の米ボーイングは17日、株主総会を開き、デビッド・カルフーン最高経営責任者(CEO)を含む取締役の選任と報酬案が株主に承認された。カルフーン氏は2024年末予定の退任まで会社の経営を担うことになったが、その高額報酬に疑問の声が出るなど、総会では深刻な品質問題を収束できない経営陣へのいらだちもあらわになった。

ボーイングは東部時間17日午前11時、オンラインで定時株主総会を開いた。時間はほぼ1時間。取締役人事や役員報酬などの会社提案について淡々と決議し、その後、株主の質問に経営陣が答えた。

取締役の人事については、カルフーン氏ら11人の再任を決めた。これは、議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)の後押しが大きい。同業のグラスルイスは「(株主は)不満を表明すべきだ」として、11人の候補のうちカルフーン氏ら3人に経営混乱の責任があるとして選任に反対するよう投資家に呼びかけていたからだ。

再任に賛成していたISSも反対に回ったのが、カルフーン氏の23年分の高額報酬パッケージだった。AP通信によると約3300万ドル(51億円)に上るが、これも承認された。

ボーイングは主力小型機「737MAX」が1月に飛行中に事故を起こし、深刻な品質問題に直面している。ボーイングのスティーブン・モレンコフ取締役会議長は総会の冒頭で「信頼を取り戻したい。これまで対策を進めてきたがもっとやるべきことがある」と述べ、謝罪した。

ただ、航空安全当局との安全品質の改善に向けた協議は続いており、復活に向けた糸口はまだ見えてない。総会は株主の質問を直接受けず、事前に集約した質問を会社が読み上げて経営陣が答える方式だったが、それでも一部株主のいらだちは隠せなかった。

厳しい質問となったのは報酬のくだりだ。

ある株主の「品質問題があるなか、CEOなど役員の(高額な)報酬をどのように正当化するのか」との質問が会社側に読み上げられ、会社側は長期的な視野で報酬体系を決めているなどと釈明した。

カルフーン氏の23年分の報酬は前年比45%増に増え、これが同日の総会で承認された。同氏が率いるボーイングの株価と業績は低迷しており、株主にとっては納得がいかなかったようだ。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。