【ニューヨーク=西邨紘子】非公開の米シーフード・レストランチェーン最大手レッドロブスターは19日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請した。複数の既存債権者と、経営権の譲渡についてあらかじめ合意している。破綻の手続きと並行し、資産売却や店舗絞り込みで事業規模を縮小し、事業の立て直しを急ぐ。
パンデミック収束後も遠のいた客足が戻らず、直近ではコスト高騰や金利高のあおりで財務の悪化が深刻になっていた。2023年に集客のてこ入れに向け、月曜限定メニューだった「エビ食べ放題」を定番メニューに変えたところ、予想を上回る注文で損失が膨らんだ。
3月に経営再建を託されトップに就任したジョナサン・ティブス最高経営責任者(CEO)は破産申請した理由について、厳しいマクロ環境や業界内競争の激化、コスト高騰に加え「無謀な経営判断と戦略の失敗」を挙げた。
裁判所への提出書類によると、レッドロブスターは米国に551店、カナダに27店を展開する。従業員数は3万6000人で、多くがパートタイムの勤務。資産と負債はともに「10億〜100億ドル(約1560億〜1兆5600億円)の範囲」と報告している。
今後、不採算店舗の閉鎖を進める。それ以外のレストランでは破綻手続き中もこれまで通り営業を続ける。
レッドロブスターは1968年創業。比較的手ごろな価格のシーフード・レストランとして人気となり、規模を拡大した。70年に米食品大手ゼネラル・ミルズの傘下に入ったが、95年に他のレストラン事業とともに分社した。
2016年、ツナ缶世界大手のタイ・ユニオン・グループがレッドロブスター株式の25%を取得した。その後、出資比率を49%まで高めたが、レッドロブスターの経営不振を受けて2024年1月、全株式を売却している。
日本では、別資本のレッドロブスタージャパンがフランチャイズ展開する。米レッドロブスターの広報担当は日本経済新聞社の問い合わせに対し「日本での事業に影響はない」と説明した。
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