KDDI、NTTドコモ、楽天グループなど7社は人工知能(AI)を活用した店舗の口コミ分析サービスを手掛けるスタートアップのmov(モブ、東京・渋谷)に総額約15億円を追加出資した。インバウンド(訪日外国人)の急増により同社のサービスは飲食店や観光施設で需要が拡大している。各社は自社のポイントサービスやスマートフォン決済を利用する加盟店などに利用を促す。
携帯電話大手3社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるKDDIオープンイノベーションファンド、NTTドコモ・ベンチャーズ、楽天キャピタルのほか、ベンチャーキャピタル(VC)のSMBCベンチャーキャピタルなど4社がモブの第三者割当増資を引き受けた。モブは生成AI(人工知能)を用いて店舗に対する口コミの傾向や課題を分析し、改善に向けた示唆を出す機能を早ければ年内にも開発する。
モブが手掛ける「口コミコム」は国内外の19のウェブサイトと連携し、投稿された口コミの内容をAIで分析し返信を支援するほか、店舗情報の更新やクーポン配信を一括で実施する。米グーグルの地図アプリ「グーグルマップ」や中国の口コミサイト「大衆点評」とも連携し、外国人から多言語で寄せられた口コミを分析し、集客に生かすサービスを強化している。
新型コロナウイルス禍からの経済回復や円安で訪日客が増加する中、店舗における管理や集客業務を効率化し、人手不足の緩和につながるとの期待から需要が拡大している。インバウンド対策を理由に口コミコムを導入した企業数は1年前に比べ6倍以上に増えた。同社によると導入企業で口コミサイト運用にかかる時間が「月8時間から5分に短縮する例も出ている」という。
モブは2015年の設立で、社員数は80人。口コミコムのほか、インバウンドに関するウェブサイト「訪日ラボ」やコンサルティング事業も手掛ける。売上高は非公表。今回の資金調達で事業拡大に弾みをつけ「2〜3年以内に年間経常収益(ARR)50億円を目指す」としている。
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