100周年の記念式典であいさつする井上礼之会長(大阪市北区)

ダイキン工業は21日、大阪市内で創業100周年の記念式典を開いた。大阪発祥で170カ国・地域で空調事業を展開するグローバル企業となった。井上礼之会長は「次の100年に向けて『何を生業(なりわい)にして稼いでいくのか』を決断し、実行する必要がある」とし、成長を持続させるための新しいビジネスモデルを生み出す必要性を訴えた。

式典には国内外の社員と経済界や学界からの来賓など約2000人が出席した。井上会長は「100年の歴史を振り返るとともに、次の100年に向けたスタートを切る年でもある」と述べた。

十河政則社長兼最高経営責任者(CEO)も「創業100年の節目にあたり、改めて当社独自の強みを見つめ直し、次の成長に生かしていくことが重要だ」と話した。三井住友フィナンシャルグループの国部毅会長は祝辞でダイキンの成長の源泉について「高い先見性や実行力、従業員の人間力の高さ」を挙げた。

式典には経営幹部も出席した(左から井上礼之会長、十河政則社長、山田靖相談役 、川村群太郎特別顧問)

ダイキンは1924年10月、官営軍事工場「大阪砲兵工廠(こうしょう)」の技術者だった山田晁氏が合資会社「大阪金属工業所」として設立。当初はエンジン冷却液を流す飛行機用のチューブなどを製造していたが、創業初期から開発してきた冷媒用フロン技術を生かし50年代にエアコン事業に本格参入した。

94年に「中興の祖」とされる井上氏が社長に就任するとグローバル化にかじを切った。海外の空調大手に対する積極的なM&A(合併・買収)などを通じて2010年にはダイキンを空調機で世界トップに押し上げた。

ダイキンの24年3月期の海外売上高比率は84%。井上氏の社長就任時の15%から大幅に高まった。十河社長は「当社独自の強みを徹底的に磨き上げ、絶えず進化させながら成果に結び付けてきたのが、井上会長がけん引した直近の30年間だ」と話した。

30年間に渡って経営トップを務めてきた井上氏は6月に取締役会長を退任する。十河氏が会長兼CEOに就き、竹中直文専務執行役員が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格する。今後の経営や事業について議論するため、22~24日には鳥取市で世界各国の経営幹部を集めた会議を開く予定だ。

(仲井成志)

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