三洋化成工業は21日、膝の半月板の再生を目指す企業治験を2025年に始めると発表した。広島大学などと組み、「シルクエラスチン」と呼ぶ機能性たんぱく質を半月板の縫合部分に注入して再生を促す。28年の実用化を目指し、30年度に関連製品で60億円の営業利益を創出する目標だ。
スポーツ中のケガなどで半月板を損傷した場合、損傷部を縫合したり切除したりする治療法が多い。ただ縫合しても完全には治りにくかった。治験ではシルクエラスチンを注入することで周辺から正常な細胞を誘引して半月板そのものの再生をめざす。
企業治験は30〜50人程度の患者を対象に半月板を再生させる効果を確認したい考え。同日記者会見した三洋化成の樋口章憲社長は「できるだけ早く実用化し、米国などにも展開したい」と話した。
三洋化成などは22年からシルクエラスチンで半月板を治療する医師主導治験を行った。安全性が確認できたことから企業治験に移行する。三洋化成はシルクエラスチンを皮膚の傷の治療に使う製品も開発している。半月板向けと皮膚向けを合わせて30年度に60億円以上の営業利益を上げることを目指す。
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