【ニューヨーク=清水石珠実】米メディア大手ニューズ・コーポレーションは22日、生成AI(人工知能)を開発する米新興企業オープンAIと提携したと発表した。傘下の経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」などの記事データを使ったAI学習や要約の作成を認める代わりに対価を受け取る。
契約は複数年で、契約額は公開しない。WSJ(電子版)は22日、契約は5年間と報じた。オープンAIは生成AI技術なども提供するという。関係者の話しによると、こうした技術提携も含めると、契約額は2億5000万ドル(約390億円)以上に相当するという。
今回の契約の対象となるのは、WSJや金融誌「バロンズ」、英紙タイムズや豪紙オーストラリアンなどの記事で、データベースサービス「ファクティバ」のコンテンツは含まれない。また、WSJの報道によると、最新記事は即時には対話型AI「Chat(チャット)GPT」のサービスに反映しない方針だという。
ニューズのロバート・トムソン最高経営責任者(CEO)は発表資料のなかで、今回の提携をオープンAIと報道機関の「美しい友情関係の始まりだ」とコメントした。
欧米メディアの間では、オープンAIとの提携が相次いでいる。4月下旬、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が記事の要約作成を認める一方で、出典の明示を求める契約を結んだ。記事のAI学習も認めた。仏紙ルモンドやスペイン紙エルパイスなどの発行元、独アクセル・シュプリンガーも類似の提携を行った。
一方で、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は全面対決の道を選んだ。23年12月、NYTはオープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを提訴した。NYTの記事を許可なくAIの学習用に使用することは著作権の侵害にあたると指摘した。具体的な損害賠償額は提示しなかったが、記事の無断使用による損害は「数十億ドル(数千億円)に上る」と試算した。
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