生成AIスタートアップの米アンソロピックは24年1〜3月期の調達総額が35億ドルに達した=ロイター
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

AIスタートアップによる資金調達額は3四半期連続で減少していたが、2024年1〜3月期には前四半期比24%増の131億ドルに回復した。スタートアップ企業全体による調達額の伸び(11%)を上回った。

1〜3月期のAIスタートアップによる調達件数は4四半期連続で減少したが、生成AIスタートアップの米アンソロピック(Anthropic)などの超大型ラウンドが調達額の大幅な増加をけん引した。

以下はAIスタートアップの状況についての主なポイントだ。

世界のAIスタートアップによる調達額は131億ドルに達した。24年1〜3月期のAIスタートアップによる調達額は前四半期比24%増の131億ドルと、四半期ベースでは23年1〜3月期以来の高い水準になり、スタートアップ企業全体の調達額の伸び(11%)を上回った。一方、AIスタートアップによる調達件数は4四半期連続減の739件と、18年以降で最も低い水準にとどまった。減少が特に顕著だったのはアジアで、前四半期比30%減となった。

世界のAIスタートアップによる調達額24%増、調達件数は減少続く(エクイティ[株式]による調達額と調達件数、公表ベース)

24年に入ってからのAIスタートアップによる資金調達ラウンドの平均規模は2310万ドルで、23年通年の1910万ドルから21%増えた。この増加傾向に大きな影響を及ぼしたのは、生成AIインフラ開発のアンソロピック(シリーズD、調達額28億ドル)と中国の月之暗面(Moonshot AI、シリーズB、10億ドル)の調達額10億ドル以上の超大型ラウンドだ。特にアンソロピックは24年1〜3月期に追加ラウンドで7億5000万ドル相当を調達し、同四半期の調達総額は35億ドルに達した。

24年1〜3月期に新たに誕生したAIユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)は前四半期と同じ6社と堅調だった。こうした新規ユニコーンのうち、月之暗面、米トゥゲザーAI(Together AI)、インドのクルトリム(Krutrim)の3社が生成AIモデル開発企業だった。

AI分野の他社によるM&A(合併・買収)を通じたエグジット(投資回収)の件数は36%減少した。24年1〜3月期のAIスタートアップのM&Aによるエグジットの件数は前四半期比36%減の69件だった。世界全体に占める欧州の割合は12%増えたが、アジアは15%減った。米国は41%で横ばいだった。

米国に拠点を置くAIスタートアップの調達額は前四半期比52%増の93億ドルに達した。24年1〜3月期に調達額が増えた他の主な地域はアジア(6%増)だけだった。米国とアジアの調達額はアンソロピックと月之暗面の10億ドル以上のラウンドによりそれぞれ大きく増えた。

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