日本銀行本店=東京都中央区で2019年9月、後藤豪撮影

 日銀が3月にマイナス金利を解除して以降進行している金利上昇について、企業の4割近くが「マイナスの影響が大きい」とみていることが帝国データバンクの調査で判明した。借入金の利息の増加による影響を懸念する声が多かった。一方、「プラスの影響の方が大きい」との回答は3%に満たなかった。

 調査は帝国データバンクが4月16日~30日に実施。大企業1769社、中小企業9453社の計1万1222社から回答を得た。

 金利上昇による自社事業への影響について、「マイナスの影響の方が大きい」との回答は37・7%と最多で、「どちらとも言えない(プラスとマイナス両方で相殺)」が33・2%で続いた。「プラスの影響の方が大きい」は、2・8%だった。

 「マイナスの影響の方が大きい」と答えた企業の割合を業界別にみると、「不動産」では47・7%と半数近くを占め、「製造」が42・6%、「農・林・水産」が41・7%で続いた。逆に「プラスの影響の方が大きい」と回答した企業が1割を超えた業界は「金融」のみで、14・6%だった。

 マイナス影響については、「住宅ローン金利が上昇すれば、不動産販売は厳しくなり市場は冷え込む」(不動産)、「新規の借り入れを検討するときにネックとなる可能性は否めない」(化学品製造)などと懸念の声が相次いだ。一方、プラス影響については「ゾンビ企業が退出し、人材の流動性が高まり、稼げる会社がより稼げるようになる」(機械製造)との見方もあった。物価高騰でコストが上昇する中、「金利上昇は痛い。できるだけ販売価格に転嫁するか、回転率を上げる」(飲食料品卸売り)など、対策に取り組んでいるとする企業も目立った。

 帝国データバンクは「低金利政策は(当面)維持されると予想されるものの、金利上昇圧力が強まっていくことは間違いない。企業も『金利のある世界』に対応できる意識の切り替えや体力の強化が必要となるだろう」と指摘している。【古川宗】

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