発電所の取水路で採取されたムール貝の選別をする苫東厚真火力発電所の所員ら=北海道電力提供

 北海道厚真(あつま)町の苫東(とまとう)厚真火力発電所が、点検時に採取したムール貝(ムラサキイガイ)を販売している。この発電所では取水路周辺にムール貝が付着。かつては廃棄されていたが、約2年前から地元の漁業協同組合への卸売りを始めた。ムール貝は周辺で漁獲していないため、同発電所の隠れた名物となっている。

 火力発電所では、タービンを回す蒸気を冷やすために取水路から海水を取り込む。苫東厚真火力発電所では取水路に、この地域では市場に流通するのは珍しいムール貝が大量に取り付いていた。操業の妨げとなるため、点検時に除去・採取していた。

苫東厚真火力発電所の取水路で採取されたムール貝=北海道電力提供

 これに地元の鵡川(むかわ)漁業協同組合が関心を持ち、2022年度から買い取りを開始した。以降、北海道電力では点検時期に合わせて年1回ほどの頻度で卸売りを続けている。今年はムール貝1・6トンを漁協の直売所を通じて販売した。

 北海道電力によると、取水路付近に付着した貝を販売しているのは、苫東厚真発電所のみ。直売所では好評を呼んでおり、電力会社の「新事業」として本格的に売り出すことも「今後検討したい」(同社広報)という。【高田奈実】

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