太陽光などの再生可能エネルギーの発電を一時的に止める「出力制御」の電力量が、2023年度は全国で計約18億9000万キロワット時となった。太陽光発電の増加により、22年度の約3・3倍に急増した。平均的な家庭45万世帯の1年分の使用量に匹敵する規模で、家庭の電気代に換算すると数百億円分が使い切れなかった。
資源エネルギー庁によると、約18億9000万キロワット時の内訳は九州エリアが約12億9000万キロワット時、中国エリアが約3億2000万キロワット時、東北エリアが約1万3000キロワット時。家庭向け電気料金の単価は、地域や時間帯によって1キロワット時あたり10円台後半~50円台。安めの20円で換算しても、23年度は約380億円分の電気が有効活用されなかったことになる。
23年度の当初の見込みは約17億6000万キロワット時だったが、九電管内などで想定以上の出力制御が発生した。24年度はさらに増え、計約24億2000万キロワット時に上ると見込まれている。
電力は発電量と使用量のバランスが崩れると大停電を引き起こす恐れがある。天気がよく太陽光発電が増えそうな日に、火力発電の出力を落とし、他地域への送電や蓄電池への充電などの対策を講じても電気が余りそうな場合、送配電会社が太陽光・風力の発電事業者に供給停止を指示する。
エアコンの利用が低調な春や秋、企業が休みの休日など、電力需要が低い日に出力制御は頻発している。原子力発電は短期間で出力を調整するのが難しいとされるため、原発稼働エリアでは出力制御が増える傾向にある。離島を除くと18年度に初めて九州で実施され、22年度以降は中国、東北地方など、東京電力管内を除く各地域に広がっている。【久野洋】
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