三菱商事は英国の食品・飲料製造販売大手プリンセスの全株式をイタリアの食品関連企業ニューラット・フードに売却する。ニューラットが27日に発表した。7月末までに売却完了を見込み、売却額は7億ポンド(約1400億円)。三菱商事は資本効率の向上などのため事業や資産の入れ替えを進めている。
三菱商事はプリンセスの株式売却により、まず6億5000万ポンドを受け取る。ニューラットの一部株式を取得し、24〜25年をめどに再びニューラット側に株を売却することで残りの5000万ポンドを回収する。ニューラットはイタリアの上場企業で、パスタやトマト缶、乳製品や飲料などを取り扱う。
プリンセスは食用油や豆・野菜の缶詰、水などの加工・販売を手がけている。2024年3月期で連結売上高は17億ポンド(約3400億円)、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が約1億ポンド、純利益が1300万ポンドだった。
三菱商事は欧州での食品販売事業を強化する狙いなどから、1989年にプリンセスを買収した。プリンセスは買収などによって規模を拡大してきたが、足元の利益率は低水準だ。
三菱商事は25年3月期までの中期経営戦略で「循環型成長モデル」を掲げ、事業や資産を入れ替えつつ、資本効率の改善などを進めている。「ケンタッキーフライドチキン」を運営する日本KFCホールディングスの株式約35%を9月をめどに米投資ファンドのカーライル・グループに売却する方針も発表ずみだ。
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