記者会見で話す三井化学の橋本修社長(29日、東京都中央区)

三井化学は29日、2026年3月期の利益目標を見直すと発表した。本業のもうけを示すコア営業利益(国際会計基準)で2000億円を目指していたが、石油化学関連事業が落ち込み、その他の事業も想定より伸び悩む見込みで達成時期を遅らせる。検討している構造改革などを踏まえ、11月に修正値を公表する。

同日開かれた経営概況説明会で明らかにした。21年に公表した31年3月期までの10年間の長期経営計画のなかで、26年3月期を中間の年度と位置づけていた。石化事業の収益悪化などで24年3月期のコア営業利益は962億円に終わり、25年3月期は1250億円を見込んでいる。

半導体向け材料など成長領域でも、車向け素材などのモビリティ事業は26年3月期の目標を1年前倒しでの達成を見込むが、それ以外では想定ほど収益が伸びていない。橋本修社長は記者会見で「外部環境の変化もあり計画通りには進んでいないのが実態だ。長期計画の方向性は変えずに修正をしていく」と話した。

収益拡大に向け成長領域の強化と構造改革を加速させる。成長領域のなかでもメガネや歯科の材料などを手がけるライフ・ヘルスケア事業を中心にM&A(合併・買収)や他社との提携を検討。「具体的な案件をテーブルにあげて検討を進めている」(橋本社長)という。

石化関連事業の構造改革では生産設備の停止や生産規模縮小などを進める。合成樹脂(プラスチック)などの原料になる基礎化学品のフェノールの市原工場(千葉県市原市)は27年3月期までに停止する予定だが、停止時期の前倒しも検討。同じく基礎化学品のエチレンの生産設備を持つ千葉県のコンビナートでは、出光興産と拠点の集約、住友化学と丸善石油化学と環境対応に向け検討をそれぞれ進めているが、「できれば4社で進めていくのが理想だ」(同)とし将来的な枠組みの拡大にも前向きな姿勢を示した。

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