専門家「電気料金は一段と上昇する可能性高い」
電気料金 抑えるには
東京電力のことし7月に請求される料金は、使用量が平均的な家庭で8930円となりました。補助が始まった去年2月請求分は前の月と比べて1800円ほど値下がりましたが、このところは値上がり傾向となっています。ことし4月分との比較では7月分は1300円あまりの値上がりとなり、燃料価格の高騰でこれまでで最も高い水準となった、おととし9月から去年1月にかけての9126円に近づく形です。
また、同じくガス料金への補助もなくなることから、7月請求分のガス料金も大手4社すべてで前の月より値上がりします。使用量が平均的な家庭で、東京ガスが121円上がって5977円、大阪ガスが121円上がって6529円、東邦ガスが117円上がって6795円、西部ガスが95円上がって6672円となります。
電気料金に詳しい電力中央研究所の筒井美樹 副研究参事は、今回の値上がりについて、「政府による激変緩和措置が終了し、補助がなくなった分、料金が高くなっている。一方で、火力発電に使われる燃料価格をみると、LNG=液化天然ガスの価格が下がっているので、その分が多少、相殺する形になっている」としています。その上で、今後の価格の見通しについては、「LNGの価格と連動する原油の価格が、昨年末くらいから上昇傾向となっているため、LNGの価格もタイムラグを伴って上昇し、その影響で電気料金は一段と上昇する可能性が高い。また、円安の影響も徐々に出てくることが考えられる。これから夏に入って電気の使用量が増えると支払額も増えると思うので、むだな消費を減らすことが大事だ」と話しています。
物価高対策の電気・ガス料金の負担軽減措置が今月末で終えることをめぐり、林官房長官は、今、燃料価格は落ち着いているとする一方、再び急激な高騰などが生じ、緊急を要する場合は、機動的に対応していく考えを示しました。電気・ガス料金をめぐっては、物価高対策として続けられてきた負担軽減措置が今月の使用分までで、いったん終えることから、今後、値上がりが予想されていて、自民党内からは、円安も背景にした家計や企業活動への影響を懸念する声などが出ています。これについて、林官房長官は午前の記者会見で、軽減措置の終了は料金の上昇要因になるものの、今、燃料価格は落ち着いており、措置の実施直前に料金が最も高騰した、おととし12月の水準と比べれば、1割程度低くなるという見通しを示しました。その一方で「今後、予期せぬ国際情勢の変化などで価格急騰が生じ、国民生活への過大な影響を回避するために緊急対応が必要となった場合には、迅速かつ機動的に対応していく」と述べました。
では電力の使用量が増える夏をどう乗り切るか。こちらは夏の時期の家庭において、電力消費が特に多い日の使用割合を家電製品別に示したグラフです。
最も多いのがエアコンで34.2%。2番目の冷蔵庫が17.8%で、あわせて50%以上を占めています。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトによると、電力の消費量が多い家電から節電に取り組むことが効果的だということです。そこに掲載されている節電の工夫を紹介します。
▽冷房時には・ドアや窓の開閉は少なく・レースのカーテンやすだれなどで日ざしをカット・扇風機を併用する▽室外機の周りに物を置かない▽冷やしすぎに注意。無理のない範囲で室内温度を上げる。外の気温が31度で冷房設定温度を27度から1度上げた場合、年間で30.24kWhの節電(約940円の節約)になるということです。▽フィルターを月に1回か2回清掃するフィルターが目詰まりしているエアコンと比較すると、年間で31.95kWhの節電(約990円の節約)になるということです。
▽物を詰め込みすぎない詰め込んだ場合と半分にした場合を比較すると、年間で43.84kWhの節電(約1360円の節約)になるということです。▽適切な設定温度に設定温度を「強」から「中」にした場合、年間で61.72kWhの節電(約1910円の節約)になるということです。▽無駄な開閉はせず、開けている時間を短くする詳しい内容は資源エネルギー庁の省エネポータルサイトで確認できます。無理のない範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか。ただ家計のための節電も大切ですが、これからの季節は熱中症対策も重要になってきます。暑さが予想される日には適切にエアコンを使ったり、こまめに水分を補給したりして、命を守ることを優先してください。
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