米東部ニュージャージー州の小売店で買い物をする米消費者=AP

【ニューヨーク=西邨紘子】米商務省が15日発表した3月の米小売売上高(速報値、季節調整済み)は、前月比0.7%増の7095億9000万ドル(約109兆円)だった。市場の予想(0.3%増)を上回り、2カ月連続で前月比プラスとなった。

同時発表の2月の確報値も上方修正し、0.9%増とした。好調な雇用市場を背景とした米消費の底堅さが改めて確認された。

業種別ではオンライン小売りを含む「無店舗小売り」が2.7%増で、伸びが最も大きかった。ガソリン価格の上昇を背景に、ガソリンスタンドが2.1%増と続いた。

食料品、外食への支出も前月から小幅に上昇。ホームセンターも0.7%増で前月比プラスだった。

一方で、スポーツ・娯楽(1.8%減)、衣類(1.6%減)、電子機器(1.2%減)は、それぞれ前月比で1%を超える減少となった。自動車・部品も0.7減と前月比でマイナスだった。

米労働省が10日発表した3月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.5%上昇し、消費者物価の高止まりを示した。長引くインフレでガソリンや食品など、生活必需品への支出が拡大する中、米消費者が不要不急の消費を抑えている様子もうかがえる。

ただ、3月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数は市場予想を下回るペースで伸びており、米雇用は引き続き好調だ。

米銀バンク・オブ・アメリカ(BoA)は自社のクレジットカードなどの利用状況に基づく3月の消費動向の分析リポートで、同月の米世帯の税引き後収入の伸びが「2023年の年初以来、最も高い水準だった」と指摘。雇用環境と賃金上昇が「消費者支出の勢いを維持した」と分析した。

また、一部で家賃の上昇圧力に弱まりが見られ「賃貸住宅の居住者に、支出拡大の傾向が見られる」(BoA)とも指摘している。

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