そもそも定額減税とは?
1人年間4万円 どう受け止める?
専門家「消費に回るのは2~3割程度か」
定額減税で、1人あたり4万円が減税されることにちなんで、価格はいずれも4万円に設定しているということです。今後はランドセルやベビーカーなどのほか、野菜などの生鮮食品も通常より安い価格で販売し、来店客数の増加につなげたいとしています。店を訪れた30代の男性は「減税はありがたいです。子どもがいるのでおもちゃを買ってあげたい」と話していました。
イオンリテール営業企画本部 伊藤竜也本部長「なるべく安く買いたいという消費者の意識は強く、物価高で消費が冷え込んでいる事実もある。6月は定額減税のほかにボーナスもあるので、セールを通じ消費を盛り上げていきたい」
東京・台東区のデパート「松屋浅草」でも、価格帯が高めの食品などを対象にセールを行っています。このうち、黒毛和牛のしゃぶしゃぶ用の肉や和牛を使ったレトルトカレーのセットは、1人あたりの減税額である4万円の「4」にちなんで、通常の2割引きの4000円で販売しています。このデパートでは物価の上昇が続く中でも定額減税をきっかけに消費を喚起したいとしています。
今回の定額減税では、1人あたり年間で▽所得税が3万円、▽住民税が1万円減税されます。納税者本人だけでなく扶養している子どもや年収103万円以下の親族らも減税の対象となります。例えば、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、世帯全体では▽所得税が12万円▽住民税が4万円のあわせて16万円が減税されます。
一方で、減税の時期や方法は、所得税と住民税で異なるほか、会社員か個人事業主かといった働き方によっても違います。詳しい内容は下記の記事で解説しています。
また、600品目余りの食品が今月から値上げされ、今後、円安の影響による値上げの影響が拡大する可能性も指摘されています。
さらに、今月から自治体による森林整備などの財源に充てる「森林環境税」の徴収が始まり、1人あたり年間1000円が住民税に上乗せされます。
今回の定額減税の効果を、どう捉えているのか。消費者行動に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員に聞きました。
久我尚子上席研究員「一時的に消費を押し上げる効果はあるが、消費者は将来的に使えるお金が増えていく見通しが立たないと積極的にはならない。減税規模のうち消費に回るのは2割から3割程度ではないか」
その理由について、さらに聞くと。
久我尚子上席研究員「今回の減税額は去年1年間の物価高で家計負担が増えた分を補うような金額だ。可処分所得を押し上げる効果はあるが、減税のしくみの分かりにくさと可処分所得が減ってきている現状の中、家計にとってプラスというよりマイナスを穴埋めするという印象を受ける人が多いと思うので、どんどんお金を使おうという心理にはなかなかなりにくい。電気代やガス代の負担軽減策が終了するので、その補填にあてるという家庭も多いだろう」
その一方で「扶養家族が多い世帯だとまとまって可処分所得が増えた実感を持ちやすいので、消費に向かいやすい。円安の状況で低迷していた海外旅行や外食の飲み代など、まだ回復しきれていない消費には向かいやすい可能性がある」としています。そのうえで、定額減税が政府が目指すデフレマインドの払拭や消費の活性化につながるかについては。
「今回の定額減税でデフレマインドを完全に払拭するのは難しいと思う。継続的に賃上げしていく見通しが立つことや円安が改善することで、デフレマインドの状況が改善していくのではないか」
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