武田薬品工業は4日、開発中の睡眠障害の経口治療薬「TAK-861」について、中間段階の臨床試験(治験)結果を発表した。日中の過度の眠気や突然の脱力など、疾患の複数の症状について改善が確認されたという。不眠などの有害事象は出たものの、重い副作用や中止例は出なかった。2024年度上半期中に、最終段階の治験を始める。
薬の有効性や安全性、投与量を確かめる「フェーズ2」の結果を公表した。今後、最終的に有効性などを検証する「フェーズ3」に移行する。
TAK-861は日中に突然眠気に襲われる睡眠障害「ナルコレプシー」の治療薬候補として開発を進めている。ナルコレプシーは2種類のタイプがあり、このうち感情が高ぶったときに脱力する「情動脱力発作」の症状がある「1型」を対象とする。
ナルコレプシーは脳内の神経伝達物質「オレキシン」の欠乏によって起こるとされる。TAK-861は、オレキシンの欠乏を補うことで症状の改善を狙う。
治験はナルコレプシー1型の患者112人を対象に8週間実施した。その結果、同薬を投与した患者は、偽薬(プラセボ)の患者と比較して起きていられる度合いが改善した。脱力発作の発生数も抑えられた。有害事象については軽度から中等度の不眠などがみられたが、5日ほどで回復したという。有害事象による中止例はなかった。
武田薬品は23年、別のナルコレプシー治療薬候補「TAK-994」について、肝障害を引き起こす「肝毒性」があるとして開発を中止した。今回のTAK-861の治験については肝毒性は報告されなかった。
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