ヤマハは6日、横浜市のみなとみらい地区に体験型ブランドショップを開く。「誰もが音楽・楽器の新たな楽しみを『発見』できる体験型拠点」をコンセプトとする。国内や欧米で市場が成熟しつつあるなか、未経験者との接点を増やすことで、顧客の裾野を広げる。
ヤマハが京浜急行電鉄や大林組などと組み、同地区に開業した複合ビル「横浜シンフォステージ」ウエストタワーに入る。横浜駅からほど近く、周辺には資生堂など大企業の拠点が集積する。投資額は非公開。
目玉の一つが1階の「Music Canvas(ミュージックキャンバス)」だ。巨大ディスプレーと連動した人工知能(AI)の伴奏が付くピアノ演奏が楽しめるほか、自動演奏する弦楽器の振動に触れることができ、来場者はユニークな音楽体験ができる。
2階では、ギターなど全11種類の楽器が体験できる。楽器の持ち方などを紹介する解説動画も用意した。高さ約5メートルのショーケースに250点以上の楽器を並べる「魅せる楽器庫」の演出も目を引く。カフェスペースでは静岡県産の茶葉を使った抹茶・ほうじ茶ラテも提供する。
3階には大人向けの音楽教室を開設。営業時間は月〜土曜日の午前10時〜午後9時30分までと、日曜日の午前10時〜午後8時30分まで。仕事帰りのニーズもつかむ。
1〜3階の総床面積は約2600平方メートル。押木正人執行役は「各エリアのコンテンツに関連性を持たせ、次々と体験したくなるきっかけを施した」と話す。
体験型ブランドショップは銀座店、名古屋店に続き国内3カ所目。先行する店舗で未経験者向けのエリアは一部だけだったが、横浜の新店では全フロアにちりばめた。山浦敦社長は4日の内覧会で「今後も国内外でリアル接点におけるブランド発信の強化を進める」と方針を示した。
ブランドを共有するヤマハ発動機も同ビルに入る。6日開設する「Yamaha E-Ride Base(ヤマハイーライドベース)」は、同社が世界で初めて発売した電動アシスト自転車の最新機種を無料で体験できるショールーム。eBike(イーバイク)と称されるスポーティーな車種に乗って横浜の街を周遊できる。
本拠を置く静岡県についても訴求。製造子会社がある同県森町産のお茶や、「うなぎパイ」の春華堂(浜松市)とのコラボによるサブレを提供する。開業当初の6〜9日には来場者に先着順で静岡西部特産のトウモロコシを進呈する。
ヤマハ発の木下拓也執行役員クリエイティブ本部長は「森町をイーバイクのふるさととしてブランディングしたい」と話し、採用活動の面からも「静岡をアピールすることは必要だ」と狙いを明かす。
(勝見莉於、武田敏英)
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