カナダ国旗=2019年5月3日、吉岡宏二撮影

 カナダの中央銀行であるカナダ銀行は5日、政策金利を0・25%引き下げると発表した。これまでの金融引き締めで、物価上昇(インフレ)が収束に向かっていると判断した。記録的なインフレを抑制するため欧米などの中銀は2022年から急ピッチで利上げを続けたが、主要7カ国(G7)で利下げに転じたのはカナダ銀行が初めて。

 政策金利を5%から4・75%へ引き下げる。利下げは20年3月以来、4年3カ月ぶり。

 カナダの4月の消費者物価指数は前年同期比2・7%上昇。インフレの勢いはピークの22年6月(8・1%)に比べて鈍り、4カ月連続で2%台が続いている。一方、1~3月期の国内総生産(GDP)が市場予想を大きく下回るなど、金融引き締めの影響で経済は減速している。

 カナダ銀行はインフレ抑制のため22年3月に利上げを始めた。23年7月に政策金利を22年ぶりの高水準となる5%にまで引き上げ、その後は据え置いていた。

 主要国中銀ではスイスが3月、スウェーデンが5月にそれぞれ利下げを決めた。欧州中央銀行(ECB)も今月の定例理事会で利下げに踏み切るとの観測が強まっている。

 一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は根強いインフレへの対応に苦慮しており、今月の利下げは見送る公算が大きい。【ワシントン大久保渉】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。