中期経営計画を発表するJCOMの岩木陽一社長(6日、東京都千代田区)

ケーブルテレビ最大手のJCOM(東京・千代田)は6日、2028年3月期に売上高1兆円を目標にすると発表した。24年3月期から12%増やす。動画配信などに押されてケーブルテレビの視聴者数が減少するなか、地域に根ざした営業網を生かしてインターネット回線サービスの販売を伸ばす。

同日発表した28年3月期を最終年度とする4カ年の中期経営計画に盛り込んだ。

岩本陽一社長は発表後の日本経済新聞の取材に「新規事業はまだ種をまいている段階。この中計期間ではインターネット回線の契約者数を伸ばす」と説明した。自前の回線を光回線(FTTH)に切り替えていく。23年からはNTTなど他社の卸回線を活用しており、自前の回線のない地域で顧客を開拓する。

ケーブルテレビ放送事業では23年10月から1つのプラットフォームで動画配信サービスとケーブルテレビの両方が見られるサービス「シン・スタンダード」を始めた。これらを軸に加入世帯数を増やす狙いだ。

全国に約600あるケーブルテレビ事業者のうち、JCOMはケーブルテレビ放送とインターネット回線などを合わせた契約数が560万世帯を超える最大手だ。全国で2600人いる営業人員が強みだ。岩本社長は「地域に根ざした営業網があり、きめ細やかな提案ができるのが成長の源泉だ」とした。

新規事業としては地域企業や自治体などを対象とした法人向けサービスの新ブランド「J:COM BUSINESS」を立ち上げる。通信・IT(情報技術)分野の環境整備などを支援する。法人向けサービスは同社として初めてとなる。

同日発表した24年3月期の連結純利益は前の期比10%増の736億円だった。固定インターネットサービスは前の期比3%増の434万回線になった。通販子会社のジュピターショップチャンネルも6期ぶりの増収増益となった。

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