【ヒューストン=花房良祐】米起業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙会社スペースXは米国中部時間6日午前7時50分(日本時間同日午後9時50分)、米南部テキサス州ボカチカから史上最大のロケット「スターシップ」を打ち上げた。地球への宇宙船の帰還に成功した。大型ブースター(推進装置)も洋上への「軟着陸」に成功した。スターシップは米航空宇宙局(NASA)の月面開発計画に参加する予定で、実用化に向け前進した。
宇宙船は打ち上げの約1時間後に大気圏に突入する際に姿勢制御用の翼など機体の一部が損傷したが、インド洋に着水することに成功した。スペースXは「貴重なデータを収集できた」として次回の打ち上げに向けて開発を続ける。
マスク氏は6日、X(旧ツイッター)に「翼は損傷したが海に軟着陸できた。おめでとう」と投稿した。
宇宙船とブースターは再利用を想定している。6日の4回目の打ち上げでは、ブースターも姿勢を制御してメキシコ湾の洋上に軟着陸することに成功した。今後は回収して再利用することを計画する。
スターシップは高さ約120メートルのロケットで、大型ブースターと宇宙船で構成する。ブースターに33基、宇宙船に6基のエンジンを搭載し、100〜150トンの貨物を運搬できる。
NASAは月面探査計画「アルテミス」で宇宙飛行士を月に送り込む計画で、スターシップは月面着陸機として利用する計画。有人の火星探査構想もある。
これまでの打ち上げでは、上空で爆発したり通信が途絶えたりして計画通り地球に帰還したことがなかったが、打ち上げをするごとに失敗を糧に成果を出してきた。前回3月の打ち上げで宇宙船はブースターから分離して宇宙空間に到達、49分間の飛行に成功した。
前回3月の試験ではブースターはエンジン13基を使って姿勢を制御しながら着水する予定だったが、このうち6基が計画外の停止をした。液体酸素を供給する部品の不備とみられ、4回目の飛行試験では改良して成功につなげた。
宇宙船は、3回目の試験では飛行中に姿勢制御が困難になった。地球に帰還する際の軌道が予定外となり、宇宙船の表面温度が予定より高くなった結果、上空65キロメートルで通信が途絶えた。姿勢制御システムのバルブの不備が原因とみられ、4回目の飛行試験で改良した。
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