大卒の中途退職者は入行から10年目くらいまでが多い(大津市の滋賀銀行本店)

滋賀銀行は7日、同行の中途退職者のネットワークを構築すると明らかにした。スマートフォンのアプリを通じて連絡を取り合い、将来の復職や、再転職先の紹介、事業連携の可能性を模索する。退職後に経験を積み新たなスキルを身につけたアルムナイ(卒業生)を通じて人的資本を拡充する。商圏が重なる関西みらい銀行なども導入済みで、近畿の金融機関にもアルムナイの活用が広がってきた。

滋賀銀によると、最初の1年間で50〜70人の登録を目指す。対象は自己都合で中途退職した正社員で、アルムナイを巡りノウハウのあるハッカズーク(東京・新宿)の技術でコミュニティーを立ち上げる。メンバーには滋賀銀の事業や求人の情報を提供する一方、同行に対する問い合わせにも応じる。転職あるいは起業した退職者とは協業の機会を探る。

ネットワークの事務局を担う滋賀銀の人事部によると、自己都合の中途退職者は年間で数十人にのぼる。公務員を含む主に近畿圏の様々な業種に転職するほか、起業する例も多い。滋賀銀はこれまでも退職者の復職を認めてきたが、希望者が想定よりも少なく、今回の試みをテコに2024年度からの中期経営計画に盛り込んだ人的資本の強化につなげる。

アルムナイの活用は転職が盛んな米国で発達した。滋賀銀では5年ほど前から、新規の分野への挑戦、スキルの獲得など前向きな動機から中途退職するケースが目立っていたという。同行は「有料職業紹介事業許可証」を得ており、「成長した戦力」として復職を歓迎すると同時に、希望があれば滋賀県内での再転職も支援する構えだ。

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