鹿児島県南九州市がLINE(ライン)の公式アカウント登録者を増やそうと、飲食店などで使える割引クーポンを配布する計画を立てている。ガソリンなど日常に必要な商品も購入できるようにして、市民約3万2000人の大半が登録することを目指す。ただクーポン目当てに登録する市外在住者も出るとみられ、事業費がそのまま登録者増につながるかは不透明だ。
クーポンはLINE登録者を対象に、市内の店舗で1000円以上を購入した場合、500円を割り引く内容。初回の配信は8月5日で、同日~8月18日に使用できる。以降、2週間おきに11月25日まで配信するが、クーポン総額が3000万円に達すればそれより前に打ち切る。飲食のほか、特産品、日用生活品、ガソリンにも使えるという。
6月1日現在のLINE登録者数は5365人で、市は行政・防災情報を市民に円滑に届けようと利用促進を計画した。クーポン配信は市の単独事業で、諸経費などを含む3518万円を予算化している。同じ県内のいちき串木野市でも同様の事業をしており、2021年11月~23年2月、国の100%補助で7300万円以上のクーポンを用意。計3回配信した。
同市では、開始前に3796人だったLINE登録者が事業終了後、5万6308人と市人口の2倍以上に達した。しかし、うち1万1372人は市からの新たな通知をブロックしており、単なるクーポン目当てだったとみられる。
いちき串木野市企画政策課の担当者は「当時は新型コロナウイルス禍の中で飲食店を支援する意義があり、クーポン目的でも意味あった。更に登録者が増えたことで、デジタル化の推進につながり、いろんな情報を流しやすくなった」と語る。4月にはLINEの公式アカウントをリニューアル。改めて登録を受け付け、現在約1万2000人が参加する。
南九州市でもクーポン目的の利用者が相次ぐ可能性があるが、市企画課の森田清博課長は「織り込み済みのコスト」と説明。「とにかく登録者を増やさないと話にならない。3000万円に達した後も、第2、3弾の事業ができれば」と話している。
同市は現在、市商工会に委託し、市内参加店を募集中。300~400店程度でのスタートを想定している。【梅山崇】
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