エリオットはサウスウエストの経営陣入れ替えなどを訴える=AP

【ニューヨーク=竹内弘文、弓真名】米有力アクティビスト(物言う株主)のエリオット・マネジメントは10日、米格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空の株式を約19億ドル(約3000億円)分、発行済み株式数の11%相当を保有していると発表した。経営陣の入れ替えや事業戦略の見直しを要求し、業績改善を迫る。

エリオットはキャンペーン用ウェブサイト「より強いサウスウエストに」を立ち上げた。サウスウエストが米国内線市場で高いシェアを誇りながら、競争力が低下している点をエリオットは問題視する。独調査会社スタティスタによると、運賃を払って搭乗した顧客を運んだ距離を表す「有償旅客マイル」(RPM)でサウスウエストはデルタ航空、アメリカン航空に次いで米国で3位だ。

新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年末を起点にすると、サウスウエストの株価は前週末時点で49%安。デルタの14%安に比べて下げがきつい。競合他社がコロナ後の航空需要を取り込み業績回復しているのに対し、サウスウエストは業績不振が続く。24年1〜3月期決算は約2億3100万ドルの最終赤字(前年同期は1億5900万ドルの赤字)となった。

競合他社もチケット変更手数料を引き下げるなど価格戦略の見直しに動いており、格安航空の競争優位は徐々に薄らいでいる。コロナ後の航空需要回復が国際線に偏っている点も他社との業績格差が広がる一因となった。サウスウエストの国際線は運航規模が国内線に比べて小さい。

サウスウエストは日本経済新聞の問い合わせに対し「9日にエリオットから初めて連絡を受けた。彼らの見解をよりよく理解するのを楽しみにしている」とコメントした。10日の米株式市場でサウスウエストの株価は一時前週末比9%上昇した。

エリオットは大型の投資案件を相次ぎ実施している。米半導体大手テキサス・インスツルメンツや日本のソフトバンクグループの株式保有が明らかになっている。

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