農林水産省がこのほど公表した食料・農業・農村白書(2023年版)によると、22年の日本の農業総産出額は前年比1.8%増加し、9兆15億円となった。総産出額は、1990年代は10兆円前後あったが、近年は9兆円前後で推移している。
部門別の産出額内訳は、下図の通り。トップは畜産の3.5兆円(38.5%)、次いで野菜の2.2兆円(24.8%)、米は1.4兆円(15.5%)、果実が0.9兆円(10.3%)だった。米の産出額は主食用米から他作物への転換が進んだことで民間在庫量が減少し、取引価格が回復したことで、前年比1.8%の増加となった。
都道府県別の農業産出額をみると、1位は北海道で1兆2919億円、2位が鹿児島県で5114億円、3位は茨城県で4409億円、4位は千葉県で3676億円、5位は熊本県で3512億円。
農産物輸入額は近年急増
一方、円安傾向が続く中で、農産物輸入額は近年急増している。23年の実績は前年比2.0%減の9兆536億円で、国内の総産出額を上回っている。輸入額は2020年は6兆2129億円で、わずか3年間で4割以上もアップしている。
輸入額が多い国は米国、中国、オーストラリア、ブラジル、タイ、カナダの順で、この上位6カ国で6割を占める。特に小麦は米国、カナダ、オーストラリアの3カ国に99.8%を依存している。
2023年産の主食用米の生産量は、前年比1.4%減の661万トンとなった。需要量は22年で691.1万トンと、この10年間で1割以上減少。このため、米粉用米や飼料用米への作付け転換が近年進んでいる。
深刻な担い手の減少・高齢化
農業白書によると、日本で農業を主な仕事にする「基幹的農業従事者」はこの20年間で半減し、2023年は116万4000人となった。平均年齢は68.7歳で、49歳以下は約1割(13万3000人)にとどまるなど、高齢化が進んでいる。
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