JEITA関西支部の定時総会に出席したシャープの沖津副社長(12日、大阪市)

シャープの沖津雅浩副社長は12日、堺市の液晶パネル工場の建屋を生成AI(人工知能)向けのデータセンターに転用する方向で検討するソフトバンクとKDDIのそれぞれと協議していることについて「どの会社が使うかはまだ確定していない。決まり次第発表する」と述べた。シャープは液晶パネル事業の損益改善のため、9月までに堺工場の稼働を停止する。

沖津氏は電子情報技術産業協会(JEITA)関西支部の総会に出席後、日本経済新聞などの取材に応じた。通信大手2社から引き合いがある理由は「(データセンター用の)建屋を一から建てると1年以上かかる」と語った。堺工場の約80万平方メートルの敷地や建屋を活用すれば、迅速に運用を始められる点が評価されたとの見方を示した。

堺工場を巡っては、シャープは7日に工場の土地や建物の売却に関する独占交渉権をソフトバンクに与えたと発表した。それに先立つ3日にはデータセンターの設立に向けた協議を始めることでKDDIなどと合意したと発表していた。

沖津氏は堺工場に関する一連の発表などを通じ、消費者のなかに「シャープがテレビ事業をやめると誤解している人がいる」とも述べた。シャープが撤退するのはテレビ向けパネルの生産であり「テレビはやめない」と強調した。

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