関西国際空港は訪日客でにぎわう(13日、大阪府泉佐野市)

関西国際空港など関西3空港を運営する関西エアポートが13日に発表した2024年3月期の連結決算は、最終損益が155億円の黒字(前の期は190億円の赤字)だった。新型コロナウイルス禍前の20年3月期以来4期ぶりに黒字転換した。訪日客が戻る一方、伸び悩む日本人の海外旅行の回復が今後の注目点となる。

売上高に当たる営業収益は前の期比87%増の1868億円と3期連続の増収となった。3空港の総旅客数は60%増の4413万人で、20年3月期の9割強の水準まで回復した。発着回数は約34万回で、こちらも20年3月期の9割強の水準だ。

23年4月の政府の水際対策終了を受け、関空の国際便で新規路線の就航や停止していた便の復活が進んだ。着陸料収入が増えたほか、23年末に改装を終えた国際線出発エリアの物販・飲食店が充実したことも業績を押し上げた。

最終黒字化を果たしたものの利益水準は20年3月期の半分以下だ。同日記者会見した関西エアの山谷佳之社長は「関空で日本人の利用が停滞している」と話した。円安や海外の物価高が日本人の海外旅行意欲をそぎ、関空国際線の4月の日本人旅客数は30万人で19年の半分にとどまる。本格的な業績回復には日本人の海外旅行の回復がカギを握る。

山谷社長は「関空で日本人の利用が停滞している」と話す(13日、大阪府泉佐野市)

空港運営面ではグランドハンドリング(地上職員)や航空機体の不足が懸念材料だ。グラハン人材はコロナ禍で離職が相次いだ。足元で人手不足は落ち着いているが、訪日客を中心にした需要回復次第で再燃しかねない。米航空機大手ボーイングの機体事故を受けた減産が機体不足に拍車をかける可能性もある。山谷社長は「需要の回復に合わせ、空港施設や航空路線、人材のキャパシティーを広げていくことが重要だ」と強調する。

(谷本克之、水上ありさ)

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