博報堂は14日、テレビCMなどの制作を巡り顧客への不適切な広告制作費の請求があった問題で、外部専門家による調査委員会(委員長・松井秀樹弁護士)から調査報告書を受け取ったと発表した。内容については顧客に報告し、返金手続きや再発防止策の説明をしている。

2023年秋にサントリー、サントリー食品インターナショナルのテレビCMやポスターの制作について過大請求していたと発表していたが、調査で新たに1社の不正請求が発覚した。社名や不正請求の額は非公表。24年3月期の決算で、すでに不正請求分を差し引いて計上している。

博報堂は広告制作で顧客との取引ルールを個別に定めている。外注費や人件費などを請求する際、「人件費は外注費の何%」など条件は顧客企業ごとに違う。そうしたルールについての理解や教育、他部署を含めたチェック体制などが不十分だったとして「お客様の信頼を裏切る許されない行為だった」とした。

調査結果を受け同社は戸田裕一会長や水島正幸社長、担当役員の報酬返上や、解職、降格などの処分を決めた。今後は社員への教育の徹底に加え、24年度にも営業現場以外の管理部門が取引情報を随時モニタリングできる取引システムや、AI(人工知能)などで異常な取引を感知できるシステムを構築し再発防止に努める。

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