JX金属が新材料を生産する茨城県日立市白銀地区の工場

JX金属は18日、人工知能(AI)半導体などに使う新材料の生産を始めると発表した。茨城県日立市の工場と子会社の東邦チタニウムの工場に数十億円をかけて生産ラインを設ける。半導体の微細化や多層化に伴いニーズが高まる金属化合物材料の生産を2024年度後半から始める。成長戦略の新たな柱に育てる。

新材料は電気を通す微細な回路を形成する。ウエハー上に配線膜をつくる際に化学反応を使って積層する。回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の超微細な半導体にも対応できるほか、電導率が既存材料のタングステンよりも高く消費電力を小さくできる。JX金属は、AI向け半導体の普及で微細化が進み需要が伸びると見込む。

新材料をサンプル出荷したところ顧客から高評価を得た。現在年間数トンの生産量を26年度には数十トン規模とする。東邦チタニウムの茅ケ崎工場内にラインを設けて24年度後半から量産し、日立市白銀地区の自社工場でも25年度から量産する。

JX金属は薄膜形成技術である化学的気相成長法(CVD)と原子層堆積法(ALD)から名前をとって「CVD・ALD材料事業推進室」を24年2月に新設した。銅精錬など従来の金属事業を事業基盤とする一方で、半導体材料などの「フォーカス事業」を成長戦略の柱に据えており、大型の設備投資や技術開発を進めている。

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