NTTドコモの社長に就任し、記者会見する前田義晃氏(18日、東京都千代田区)

NTTドコモは18日、前田義晃新社長就任の記者会見を開いた。23年春から浮上している通信ネットワークの品質問題について「全社員で取り組む最重要課題」と述べ、通信品質の向上に最優先で取り組む考えを示した。

ドコモでは23年春以降、人口が密集する都市部を中心にデータ通信の速度低下が指摘されるようになった。前田社長は現状について「(集中対策などの結果)改善が進みネガティブな声は減ってきた」と述べた。そのうえで「あらゆるサービスの土台に通信がある。顧客の声に向き合い、満足せずにとことんやり抜く」と強調した。

具体的には、高速通信規格「5G」で使う周波数帯「サブ6」の対応エリアを24年度中に首都圏、名古屋、大阪、福岡で集中的に広げるとした。サブ6の通信速度は従来の5Gと比べて約3倍で、快適な動画視聴ができるようになる。高速で安定した通信が可能になる最新の基地局装置への切り替えも進めるとした。

前田社長はリクルート出身で30歳でドコモに転じた。携帯電話向けのネット接続サービス「iモード」の開発チームに加わったのち、コンテンツやサービスなど「非通信」領域で実績を積んだ。1992年のドコモ営業開始後、NTTグループの生え抜き社員以外が社長に就いたのは初めて。

ドコモは26年3月期に非通信事業の売上高を全体の5割以上まで高める目標を掲げる。人口減少で主力の個人向け通信収入が先細るなか、非通信事業の収益性を高められるかが重要になる。スマートフォンを起点にした金融サービスや共通ポイント「dポイント」を組み合わせた事業展開を軸に「新しいドコモをつくっていく」とした。

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