「明日のあたりまえとなる価値を生み出し続ける会社」。NTTドコモの前田義晃社長(54)は18日、就任記者会見で目指す姿を強調した。技術の進歩と同時に、自身も含めた社員の人間力向上が不可欠だと語る。
2022年に新設された非通信事業を統括する社内カンパニーのトップに就いた際にも掲げた言葉だ。経営者として描くドコモの存在意義も変わらない。転職を機に入社し、金融や音楽配信などの非通信分野をリード。趣味の音楽鑑賞で取引先と盛り上がり、ビジネスにつなげた経験も多い。自身の哲学は「チャレンジ」。やってみることが変化や成長につながると信じる。
マネックス証券の子会社化やアマゾンジャパンとの提携強化で、ドコモは金融決済やポイント事業を積極的に拡大中だ。今後は個人のライフステージに合わせた最適な金融サービスも提案できる企業を目指す。前田氏は、非通信分野の推進役である金融サービスの中でも決済事業が大きく伸びているとして、銀行事業への参入も視野に入れていることを明らかにした。
会社の土台である通信分野には最も注力する。「通信サービスの品質でナンバーワンを目指す」と宣言。通信データ量の増加を踏まえ、高速通信規格「5G」拡大のため高周波数帯を強化する。特に人口が密集し通信が混み合う都市部で、高速大容量エリアの拡大を急ぐ考えだ。ネット交流サービス(SNS)への投稿やアプリのデータを収集し、通信速度などの体感品質が低下している場所を検知し、迅速に改善する取り組みを加速させる。【藤渕志保】
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