太平洋セメントは、米国に混合セメントなどの混和材料の貯蔵庫を増設する(写真は太平洋セメントの東京の貯蔵・中継施設)

太平洋セメントは20日、脱炭素化に対応する混合セメントなどに使われる混和材料の大型貯蔵庫2基を米カリフォルニア州に増設すると発表した。同社の米国子会社が4000万ドル(約63億円)を投じ、2026年2月の完成を予定する。米国のセメント・生コン業界が環境配慮の調達を推進するなか、混和材料の需要増加に備えるのが狙いだ。

新たな貯蔵庫は、米国でセメントの輸入・販売を手がける子会社のターミナルに建設する。増設により混合セメントやその材料の受け入れ能力は5万1900トンと、これまでの約2倍に増える。

米国では従来のセメントから、製鉄所などの高炉で発生する副産物のスラグなどを含む混合セメントへの移行が進む。混合セメントは原材料を燃やしてできる中間物の割合が少なく、その際に発生する二酸化炭素(CO2)の排出量が削減できるためだ。

10年前には数%だった混合セメントの割合は、移行が進む州では50%ほどまで上昇しているという。生コン業界でもスラグなどの混合物の使用が求められることが増えており、混和材料の需要が高まると見込まれる。

太平洋セメントは今後も安定した需要が見込まれる米国事業の拡大を計画する。CO2排出削減につながる混合セメントへの移行を進めるなど、同国の脱炭素化の流れに対応していく。

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