経団連が発表した「選択的夫婦別姓」の早期導入を求める提言を巡り、取りまとめの中心を担った魚谷雅彦ダイバーシティ推進委員会委員長(資生堂会長)は20日、東京都内で記者会見し、「これ以上先送りできない。ジェンダーの問題に取り組まないと(日本の)競争力が弱体化してしまう」と背景を説明した。
選択的夫婦別姓が認められれば、夫婦がそれぞれの姓を結婚後も名乗ることができる。経団連の調査によると、9割の企業が旧姓を通称として使用することを認めているが、通称と戸籍上の姓が異なることでビジネス上の弊害も目立ってきたという。
魚谷氏は「女性活躍推進に伴い、企業も(夫婦別姓について)無視できなくなっている」と指摘した。ただ、民法改正など政治的な動きは進んでいないのが実情。魚谷氏は「大変難しい問題」とした上で、「(政府と)連携して進めていきたい」と強調した。
別姓導入に伴い子どもの姓をどうするかという問題について問われると、魚谷氏は国によってさまざまな形があると説明し、「どれに帰結するのがいいのか、まずは議論が始まることを提唱している」と語った。
選択的夫婦別姓を巡っては、法務省の審議会が1996年に民法改正を盛り込んだ答申をまとめている。経団連は提言で、答申を「現在においても社会の実情を踏まえた極めて妥当な内容」と評価。その上で、政府に改正法案の早期提出と国会での建設的な議論を求めている。
日本記者クラブで記者会見する経団連の魚谷雅彦ダイバーシティ推進委員会委員長(資生堂会長)=20日午後、東京都千代田区
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