減量薬として使用が広がるノボ・ノルディスクの医薬品「ウゴービ」と「オゼンピック」=ロイター

【ニューヨーク=西邨紘子】世界保健機関(WHO)は20日、減量薬として使用が拡大するセマグルチド系医薬品について、幅広い地域で偽造医薬品の報告が増えていると警告した。

セマグルチドはノボ・ノルディスクの肥満症薬「ウゴービ」と糖尿病治療薬「オゼンピック」の有効成分。本来は医療関係者の処方が必要だが、食欲を抑える減量効果が注目され、美容目的で不正規に入手を試みる人が増えているという。

WHOによると、偽造薬の報告は、2022年以降「全ての地理的地域」(同機関)で増加してきた。23年10月から12月にかけ、ブラジル・英国と米国で見つかった製品をWHOが調査したところ、偽造品と確認されたことを受け、今回の警告に至った。

WHOは、偽造薬の使用は「合併症や予想できない健康へのリスクを引き起こす可能性がある」と指摘。医療従事者や減量薬の使用者に対し、疑わしい場合は医薬品の使用を中止し、WHOや当局に報告するように呼びかけている。

別の肥満症薬「ゼプバウンド」(一般名チルゼパチド)を製造・販売する米イーライ・リリーも同日、公開書簡を発表し「(同薬に)似せて宣伝、またデザインされた模造品や偽造品の急増」に対する懸念を表明した。

イーライ・リリーによると、偽造薬はオンラインやソーシャルメディア、スパなどで宣伝や販売されている。医薬品に含まれる有効成分の種類や用量が適切でなく「深刻な(健康)被害につながる可能性がある」と指摘している。

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