米重工大手ハネウェルは防衛部門を強化する=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】米国の重工大手ハネウェル・インターナショナルは20日、防衛メーカーの米CAESシステムズを米国のファンドから19億ドル(約3000億円)で買収すると発表した。ロシアのウクライナ侵略や中国の台頭などを受けて各国の防衛支出が増加するなか、防衛分野を強化する。

プライベートエクイティ(PE)ファンドの米アドベント・インターナショナルからCAESの株式を現金で買い取る。

CAESは防衛・航空宇宙分野のアンテナや通信機器の設計・開発を得意とする。東部バージニア州に本社を構え、北米13カ所に拠点を持つ。20年に源流となる会社がアドベントに買収された。

ハネウェルはステルス戦闘機「F35」などの部品を生産するなど米軍との取引が多い。ビマル・カプール最高経営責任者(CEO)は「買収で防衛産業の最先端に居つづける」とコメントした。

ハネウェルは3月にイタリアの航空宇宙部品メーカーのシビタナビ・システムズを買収すると発表したばかり。ハネウェルの航空宇宙事業は1〜3月、売上高が前年同月に比べて18%増加しており好調だ。

地政学リスクの高まりと軍事費増大の潮流を背景に欧米の防衛大手は事業の拡大に動いている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、欧米の大手10社の採用予定人数は約3万7000人に達した。

英BAEシステムズは24年2月、米ボール・エアロスペースを56億ドルで買収した。ボールは航空宇宙分野に強く、BAEは米国の国防総省や情報機関向けのビジネスの拡大に期待しているという。

ロシアのウクライナ侵略を受け、西側諸国は防衛力の強化に動いている。ウクライナ東部を中心に弾薬の消耗が著しく、ウクライナ軍を支援する欧米は工場で増産を急いでいる。

加えて、中国の軍事的な台頭で台湾侵攻の現実味が増したとして米国や日本などが警戒。アジア諸国も防衛装備品の調達予算を積み増している。ストックホルム国際平和研究所によると、世界の軍事費は23年、過去最高を更新した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。