日本でもサイバー攻撃への対処の重要性が高まっていることから、アメリカの通信大手「シスコシステムズ」は、専門家を集めた拠点を年内にも東京に設け
▽政府のサイバー対策などへの助言も行えるアドバイザーを置くほか
▽国内企業の対策強化を支援する専門チームを常駐させる方針です。

NHKの単独インタビューに応じたチャック・ロビンスCEOは日本事業を強化するねらいについて「DX=デジタルトランスフォーメーションやAIの活用、半導体産業などさまざまな動きが加速している。サイバーセキュリティーもその1つで、会社にとって非常に重要な市場だ」と述べました。

そのうえで「世界中で直面するサイバーセキュリティーの課題と、日本で起きていることは全く違いはない。特に日米関係を考えれば、当社がセキュリティーの構築やサイバー防御を支援することは非常に重要だ」と述べ、日本政府や企業との連携を深めていく考えを強調しました。

日本へのサイバー攻撃 現状は

日本でもサイバー攻撃への対処の重要性が高まるなか、アメリカのIT企業が日本でサイバーセキュリティー事業を強化する動きが活発になっています。

ハッカー集団による不正アクセスなど、サイバー攻撃による被害は日本でも相次いでいて、今月8日には、出版大手、KADOKAWAのグループ会社が手がける「ニコニコ動画」などが停止に追い込まれました。

データセンターのサーバーが、身代金要求型のコンピューターウイルスなどの大規模なサイバー攻撃を受けたことが確認されたということで、幅広いサービスに影響が出ました。

会社は「ニコニコ動画」などのサービスでは、システムを再構築する必要があるとして、復旧には少なくとも1か月以上かかる見込みだとしています。

JR東日本でも先月、運賃の支払いなどを行う「モバイルSuica」で、アプリでのチャージがしにくくなるなどの障害が起き、サイバー攻撃を受けたことが確認されたということです。

ことし3月には、大手光学ガラスメーカーの「HOYA」でも、第三者からのサイバー攻撃でシステム障害が発生し、複数の製品の生産や受注のシステムが停止して、眼鏡用のレンズの受注や発送が一時ストップしました。

公共施設でも被害が出ていて、去年7月には名古屋港のコンテナターミナルで、サイバー攻撃による大規模なシステム障害が発生して、コンテナの積み降ろしやトレーラーへの積み込みができなくなり、およそ2万本のコンテナに影響がおよびました。

こうした中で、日本企業などの需要を見込んだ動きも出ていて、アメリカのグーグルはことし3月、東京にサイバーセキュリティーの研究拠点を新たに設けて
▽大学や政府との共同研究や
▽人材育成などの取り組みを進めることを発表しています。

ことし4月には、マイクロソフトもサイバー攻撃に関する情報共有やセキュリティー対策などで、日本政府との連携を強化する方針を明らかにするなど、アメリカのIT大手の間で日本事業への関心が高まっています。

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