最新のAIモデルについて説明するELYZAの曽根岡CEO(26日、東京都千代田区)

生成AI(人工知能)スタートアップのELYZA(イライザ、東京・文京)は26日、日本語の性能に特化した最新の大規模言語モデル(LLM)を開発したと発表した。米オープンAIの「GPT-4」を上回る性能といい、推論能力に優れる。文章の抽出や要約などに活用でき、外部企業に技術提供する。

イライザは2018年にAI研究で著名な東京大学・松尾豊教授の研究室から発足した。4月にKDDIの傘下に入ったことで知られる。

開発したLLMは、性能を示す「パラメーター」の数が700億と80億の2種類。700億のモデルは日本語を対象にした評価指標で比較すると、オープンAIの「GPT-4」や米アンソロピックの「Claude 3 Sonnet」といった海外の主要なモデルを上回るスコアを示した。80億のモデルは小型のコンピューターでも高速処理できる点が特徴だ。

従量課金体系で外部企業に提供することを想定する。文章の抽出や要約、コードの生成などに適用できる。

技術進化の背景にはオープンソースLLMの存在がある。イライザは新モデルの開発にあたり、米メタのオープンソースLLM「Llama(ラマ)3」を利用した。ゼロから開発するよりも素早く、安価に独自のモデルを作り上げることが可能だ。

イライザは日本語の追加学習をさせることでさらに性能を引き上げた。26日、記者会見を開いた曽根岡侑也最高経営責任者(CEO)は「今まで到底たどりつけないと考えていたGPT-4の水準にジャンプアップできた」と述べた。

一方、グローバルでみればオープンAIが日本法人を設け、日本語の処理能力を高めたモデルを開発するなど攻勢を強めている。圧倒的な資金力と顧客基盤を持つ米国勢との差をどう埋めるかが引き続き課題となる。

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