1万円札と100ドル紙幣=ゲッティ

 28日の外国為替市場の円相場は、対ドルで下落し、一時1ドル=161円台を付けた。1986年12月以来、38年ぶりの安値水準を更新した。堅調な米国経済を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退。米長期金利は4%台の高水準で推移し、1%前後の日本とは依然として大きな金利差がある。高金利のドルに資金が集まり、円が売られやすい状況が続いている。

 政府・日銀は、1ドル=160円台を付けた4月から5月にかけて総額9・7兆円の円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。市場では「政府・日銀がさらなる為替介入に踏み切ることがあり得るのではないか」と警戒する声も出ている。

 財務省の神田真人財務官は26日夜、記者団の取材に「最近の急速な円安の進行に深刻な懸念を有しており、高い警戒感を持って市場の動向を注視している。行きすぎた動きには必要な対応を取っていく。足元の動きは急激であると見ている。(円安の)一方向であるのは間違いない」と述べた。【浅川大樹、加藤美穂子、山下貴史】

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