訪日客需要で化粧品や医薬品が売れている(東京都中央区)

調査会社のインテージ(東京・千代田)は2024年上半期に売れた日用品・食品のランキングをまとめた。前年同期に比べ販売金額の増加率が最も高いのは、「パック」の54%だった。2位に「靴クリーム」、5位に「リップクリーム」が入るなど外出機会の増加で売れ行きが伸びたものが目立った。新型コロナウイルス禍から回復が鮮明になった。

全国約6000店舗で収集した小売店販売データ「SRI+」を分析した。1〜5月の販売金額の増減率を前年同期と比較して、ランキングにまとめた。

増加率トップはパックだった。インテージ市場アナリストの木地利光氏は「インバウンド(訪日外国人)需要に加え、韓国コスメの台頭や女性タレントによるブームもあり、大きく伸びた」と話す。女性の購入率(1〜5月に1回以上商品を買った人の割合)は23年の15%から18.5%に上昇した。

2位の靴クリームは33%増えた。マスク着用が減り、5位のリップクリームは28%増だった。

3位の強心剤(32%増)、6位のビタミンC剤(19%)といった医薬品は訪日客需要が支えた。

食品値上げに伴う消費行動の変化もランキングに表れている。

主食のコメ(18%)は9位に入った。インテージによると、これまでコメが上位に入ることはほとんどなかったという。値上げの進むパンからコメに需要が移っているようだ。

同社の食卓調査「キッチンダイアリー」によると、主婦がいる家庭の朝食にご飯が出てくる割合は、21年の31.3%から24年には34.3%に上昇した。同じ期間にパンの割合は73.3%から69.1%に低下した。

10位の煮干しや11位の中性洗剤、14位の漂白剤は販売数量の伸びは見られず、価格上昇の影響が大きかった。4位のトマトジュースは値上げもあったが、健康を訴求する商品が好調で3割増となった。

販売金額の減少率が最も高いのは、抗原検査キットなどの検査薬で53%減った。ほかにも2位のマスク(25%減)、8位の殺菌消毒剤(12%減)など新型コロナ禍で需要が急増した衛生用品が上位に入った。日用品の売れ筋も平常に戻りつつあるようだ。

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