自動車部品の大量生産に必要な金型を下請け業者に無償で長期間保管させたなどとして、公正取引委員会が近く、下請法に基づきトヨタ自動車の子会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」(横浜市)に再発防止を勧告する方針を固めたことがわかった。関係者によると、子会社側は公取委に下請法違反を認めているという。

 同社は、車体パーツの製造や開発などを手がけており、ホームページによるとトヨタが株式の9割を保有している。

 関係者によると、遅くとも約2年前から、新たな発注の見込みが無いにもかかわらず、過去に使った子会社所有の金型や検査器具など約650点を約50の下請け業者に保管させ、費用も負担させていた。

 保管費用は2年間で計数千万円に上る見通しで、なかには約30年にわたり保管を強いていたケースもあり、下請け業者側が不当に費用負担させられた総額は億単位に上る恐れがある。

 また、下請け業者からの納品時に行う検査をしていなかったにもかかわらず、事後的に「傷がある」などと主張し返品するケースもあった。返品総額は計約5千万円という。

 公取委は、こうした取引が下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請など)に該当すると認定し、再発防止を勧告する方針。同社は、不当に負担させた費用の相当額を下請け業者に支払う見通しという。

 トヨタ自動車は「現在、事実関係を確認している。トヨタでは金型保管に関する対応をはじめ、下請法順守に努めており、子会社での法令順守についても引き続き徹底していく」とコメントした。

 金型を無償で保管させる商慣習については公取委が監視を強めており、今年3月にはモーター製造販売大手「ニデック」の子会社に下請法に基づく勧告を出した。また、自動車業界をめぐっては同月、下請けが納入する部品価格を一方的に引き下げていたとして日産自動車にも再発防止を勧告した。(増山祐史、大平要)

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