経営改善を進める駿河湾フェリー

静岡県の清水港(静岡市)と土肥港(伊豆市)間でフェリーを運航する一般社団法人ふじさん駿河湾フェリー(静岡市)は2023年度の決算で最終損益が6375万円の赤字(前の期は1196万円の黒字)になったと発表した。半額キャンペーンを終えて客単価は増えたが、輸送人員の回復が遅れた。命名権販売など収益多角化を急ぐ。

売上高に当たる運賃収入などは16%増の3億4444万円、輸送人員は8%減の9万9849人だった。前の期は集客テコ入れへ運賃の半額企画を展開し輸送人員が10万人を超えていた。終了した反動で輸送人員が減ったものの客単価は上がり増収になった。

自治体の補助金などを織り込んだ収益の合計は5%減の6億584万円だった。県の観光促進事業による委託料収入や補助金が減った。県や周辺市町の負担金は2億5640万円になる。収益と費用を差し引いた最終損益は22年度の黒字から再び赤字に転じた。

一方、5月単月の輸送人員は前年同月比5%減の1万739人だった。天候不順で運行便数が1割近く減り、大型連休も前年より1日少なかったことが響いた。ただ、大型連休中の1便当たりの輸送人員は前年を上回り、力を入れる外国人利用者も約300人とまだ少数だが増えつつある。

現在4カ年の経営改善戦略を進め、最終年度の27年度に収支均衡を目指している。訪日外国人(インバウンド)や富裕層の集客へ船内を改装したほか、今後は企業へのフェリー事業の命名権販売やクラウドファンディングを通じた船内の魅力向上などに努めたいとする。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。