高崎高島屋はギフト向けにアイスクリーム商品を前年から10種類程度増やした(群馬県高崎市)

北関東3県の百貨店などで中元商戦が本格化している。2024年夏も猛暑が予想されており、各社はアイスクリームなど冷たい食品を充実させている。中元市場が縮小傾向にあるなか、自宅用や手土産用といった需要も見据える。

高崎高島屋(群馬県高崎市)は16日までギフトセンターを開設している。アイスクリーム商品は前年より10種類程度多い約60商品をそろえた。冷たいままでも食べられるフルーツピザや12種類の野菜を閉じ込めた冷製ゼリーなど、涼しさを感じられる品ぞろえを強化した。

新型コロナウイルス禍から人流が回復し、5〜6月に開いた北海道物産展は過去最高の売り上げを記録するなど店頭には客が戻っている。同社の担当者は「お中元を店頭で従業員に相談しながら選びたいというニーズが伸びている」とし、ギフト需要の高まりにも期待を寄せる。

水戸京成百貨店の夏のギフトセンターは開設初日から商品を吟味する客でにぎわった(6月20日、水戸市)

水戸京成百貨店(水戸市)は6月20日に開いた夏のギフトセンター内に「夏のごほうびスイーツ」と題したコーナーを新設した。アイス・ゼリーなどを100点以上を扱うが、特に果物を使った高価格帯のゼリーなど7点を推す。同社食品部の若林海斗氏は「企業間の贈答用から自分用のプチぜいたくへのシフトが進んでいる」と話す。

日持ちがするノリなどの乾物類や飲料のような定番ではなく、旬の肉や果物などを産地直送で贈る志向も目立つという。夏場のバーベキューも意識し、ステーキや茨城県産「常陸牛」の焼き肉セットなども充実した。若林氏は「親戚同士で集まる機会や行事が増える夏だからこそ、家族で楽しめる商品をとりそろえた」と力を込める。

生乳にこだわったアイスクリーム「96撰(せん)」(5個5400円)

那須千本松牧場(栃木県那須塩原市)を運営するホウライは、三越伊勢丹グループの中元商品として、アイスクリーム「96撰(せん)」を販売している。生乳の質にこだわり、同牧場の約500頭の乳牛のうち選別した96頭を最適な時期に搾乳した生乳を原料とした。数量限定で、販売はなくなり次第終了となる。

東武宇都宮百貨店宇都宮本店は15日までギフトセンターを設ける。「節約志向が強まっているなか、送料込みギフトや栃木県内送料無料ギフトを強化した」とする。

矢野経済研究所(東京・中野)によると、24年の中元市場は6560億円と前年比微減となる見通し。高崎高島屋は中元商戦の売り上げ目標を前年と同水準とする。「中元として購入する人が減るなか、自宅用や帰省時の手土産用としてもらうためカジュアルな商品を提案していきたい」(広報担当)という。

(田原悠太郎、近藤奈穂、吉田陽香)

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