これまで創薬が難しかったとされる細胞内のたんぱく質を標的とした医薬品開発を強みとするPRISM BioLab(プリズムバイオラボ)が2日、東証グロースに上場した。初値は公開価格(450円)を8.7%上回る489円で、その後は569円のストップ高水準を維持して初日の取引を終えた。東京証券取引所で記者会見した竹原大社長は「新たな創薬領域を生み出す」と意欲を示した。主なやりとりは以下の通り。
――株価をどのようにみますか。
「株価についてコメントできる立場ではないが、公開価格を上回って評価していただき、ありがたく受け止めている。長期的にグローバルにインパクトのあるバイオテックを目指している。より評価されるよう事業に注力していきたい」
――事業の強みを教えてください。
「当社の開発した低分子化合物と標的になるたんぱく質を結合させ、別のたんぱく質との化学反応を防ぐことで病気の進行を遅らせる。従来の創薬では細胞の外側のたんぱく質にしか作用できなかったが、当社の技術では細胞の内側にも標的を広げられる。これまで治療が困難だった病気の創薬も可能になる」
「大手製薬会社からの依頼を受けて化合物を提供し定期的に共同研究費を受け取る共同開発事業と、自社で臨床のフェーズまで開発を進め高収益を期待できる自社開発事業の2本の事業ポートフォリオを組んでいる。キャッシュフローを安定させつつ、自社開発に継続的に資源を投入できる体制を整えている」
――中長期の成長戦略は。
「スイスのロシュや米ジェネンテック、独メルクといった世界の製薬大手とライセンス契約を結ぶなど技術力の高さを評価されている。自社開発ではすでに2つのパイプラインでヒトへの効果が確認されている」
「モルヒネやアスピリンなど創薬の技術革新が進むたびに創薬の市場規模そのものも大きく成長してきた。われわれの技術も新しい創薬領域を生み出す可能性があると自負している。そのために創薬分野の各ステージの専門家による科学諮問委員会も設置している。自社だけではないグローバルな見識を導入することで開発の確度を上げている」
――上場による調達資金の使い道は。
「収益性の高い自社開発事業に充当したい。年間2本程度のペースで新しいプログラムを立ち上げていく。また人工知能(AI)を使った分析とも非常に相性がいいのでAI投資も進めていく。上場によって人材も確保しやすくなるので、優秀なサイエンティストの採用も強化したい」
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