海上自衛隊の潜水艦を受注する川崎重工業が取引先企業との架空取引で裏金を捻出し、潜水艦乗組員らの物品購入代や飲食代を負担していた疑いがあることが3日、分かった。同社と防衛省が同日発表した。同社によると、不正な資金捻出は遅くとも6年前に開始。流用額は十数億円以上に上る可能性があるという。

防衛省は3日、潜水艦修理契約を巡り同社と取引先企業が海上自衛隊員に対し、金品や物品の提供などを行った疑いがあると発表した。隊員らの規律違反や同社と交わした契約について調査している。

同社の防衛関連の契約は2021年度で約2000億円に上る。同社は神戸工場(神戸市)の造船所で、潜水艦の建造や定期的なメンテナンスを行っている。

関係者によると、神戸工場でメンテナンスを担当する「修繕部」の従業員が取引先企業と共に、架空発注を行うなどして裏金を捻出したとみられる。捻出資金で商品券や工具を購入し、隊員らに提供した疑いがある。

川重は裏金作りなどに関わった人数や具体的な金品の流れについて、特別調査委員会を設置して調査を進めている。

裏金作りは大阪国税局の税務調査で発覚。2023年3月期までの6年間で十数億円の申告漏れを指摘されたという。追徴税額は少なくとも約6億円に上るとみられる。

同社は「心からおわび申し上げる。真相解明と併せて、コンプライアンスとガバナンス強化に向け体制改善に努める」とコメントした。

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