サムスン電子の業績回復が鮮明になった

【ソウル=松浦奈美】韓国サムスン電子が5日発表した2024年4〜6月期の全社営業利益は前年同期比16倍の10兆4000億ウォン(約1兆2100億円)だった。生成AI(人工知能)向け需要が伸びて半導体メモリー市況が全般的に好調となり、2四半期連続で前年同期を上回った。

売上高は23%増の74兆ウォンだった。24年1〜3月に約2年ぶりに増収増益に転じ、2四半期連続で前年実績を上回った。4〜6月期の純利益や事業別収益は、今月末発表の決算確報値で公表する。

売上高全体の約3割を占める半導体部門が1〜3月期に引き続き、黒字を確保したとみられる。新型コロナウイルス禍の特需の反動で減速していたパソコンやスマートフォンの売り上げが24年以降は回復基調に転じ、サムスンの半導体在庫の水準も低下したもようだ。

在庫の減少に加え、生成AIブームでデータセンターへの投資が回復している。複数のメモリーチップを積み重ねて、高速・大容量のデータ処理を行う「HBM(広帯域メモリー)」と呼ばれる半導体の需要が伸びた。その結果、メモリー半導体が全般的に品薄になり、販売価格が上昇している。

韓国の証券アナリストの直近の予測では、4〜6月期の営業利益は8兆3000億ウォン程度とみられていた。5日発表の速報値は市場予想を25%ほど上回った。

サムスンは半導体市況が低迷した22〜23年、記録的な業績悪化に直面した。23年12月期の営業利益は前の期比85%減の6兆5700億ウォンと15年ぶりの低水準だった。半導体部門が過去最大の赤字を計上したほか、スマートフォンやディスプレーの販売も軒並み低調だった。

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