連携展示エリアでは生薬を「五感」で体験して植栽した(6日、京都市動物園)

京都市動物園と武田薬品工業株式会社京都薬用植物園(京都薬用植物園)は6日、市動物園内に新設した連携展示エリアのオープニングイベントを開催した。通常は廃棄物として処理される動物の糞(ふん)と植物の残渣というバイオマスに由来する堆肥を活用して植物を栽培する「循環型農業モデル」を展示することで、環境教育を推進する。異なる生物資源をもつ両園の魅力をアピールする狙いもある。

イベントには小学生の親子ら約20人が参加した。冒頭の挨拶で、市動物園の和田晴太郎園長は「環境に優しい動物園をめざして象やシマウマの糞の堆肥化に取り組んでいる。京都薬用植物園とは薬効のある植物などで連携していく」と述べた。

オープニングイベントに参加した京都市動物園の和田園長㊧と武田薬品工業京都薬用植物園の野崎園長(6日、京都市)

京都薬用植物園の野崎香樹園長は「バイオマスと物質循環というテーマについて、『動物のプロ』と『植物のプロ』がわかりやすく説明する。見たり触ったり五感を使って楽しんでほしい」と話した。

「アジアゾウは1日約40キログラムの糞をする。現在は5頭いるので毎日200キログラムになる」(市動物園の土佐祐輔獣医師)、「ゴミとして捨てるのではなく、土に返して分解して畑をつくり植物をつくり、さらに動物に食べてもらう」(京都薬用植物園の安藤匡哉博士)といった説明を受けた後、連携展示エリアに移動した。バイオマス由来の堆肥のブレンド土を活用した畑で、漢方薬「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」を構成する生薬のひとつであるトウキの植栽を体験した。

アジアゾウは1日約40キログラムの糞をする(6日、京都市動物園)

両園は連携展示エリアで植栽した植物を使って、11月2日に市動物園で収穫と給餌見学、同3日には京都薬用植物園で園内見学と薬膳体験などのイベントを予定している。

京都薬用植物園は武田薬品工業のCSR活動拠点に位置付けられている。2024年1月に博物館法に基づく「登録博物館」に登録されたこともあり、地域の博物館活動のハブ拠点化に向けた取り組みを推進している。地域貢献活動の一環として、23年6月に近隣の小学校への出前授業を市動物園と共同で実施したことが、今回の連携展示につながった。

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