全日本空輸(ANA)は8日、再生航空燃料(SAF)による貨物輸送の荷主向け証書を、京セラに初めて発行すると発表した。二酸化炭素(CO2)削減量を証書にすることで、荷主は環境対応を取引先や投資家などに示しやすくなる。原材料の調達や製品の輸送を含めたサプライチェーン全体でCO2を削減する企業の利用を促す。
同日、成田空港で米シカゴ行きのANA貨物機に京セラの自動車部品などを搭載する様子を公開した。
ANAの「SAFフライトイニシアチブ」という取り組みの一環だ。2021年から貨物事業者などに証書を出しており、23年9月に荷主企業に対しても証書を発行すると発表していた。企業は自社の直接排出だけでなく、サプライチェーン全体での排出量「スコープ3」の削減が求められている。
SAFは廃食油などを原料につくる。原料の収集や生産、輸送や燃焼までのCO2排出量は従来の燃料に比べ約80%削減できる。ただ需要に対する供給量はわずかだ。国際航空運送協会(IATA)によると24年のSAFの生産量は19億リットルと前年比3倍を見込むが、航空産業で必要な量の0.5%にとどまる。従来燃料と比べて3〜5倍とされる価格も普及の課題となる。
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