博報堂生活総合研究所は、30年ぶりに実施した「若者調査」の結果を発表した。「尊敬する点が一番多い相手」は、「母親」が1994年調査に比べて14.6ポイント増の43%となった。12.6ポイント減となった「父親」(33.8%)を逆転した。女性の大学への進学率や就業率が高まり、信頼できる相談相手として母親の存在感が増したと分析している。
1月11日〜2月26日に首都圏40キロ圏内に住む19〜22歳の未婚男女600人を対象に調べた。
2024年調査では「母親と共通の趣味がある」と答えた人は50.7%と過半数に達し、前回調査から20.8ポイント増加した。特に男性の増加率が大きく、19.5%から41.6%と2倍以上に増えた。「父親と共通の趣味がある」若者も7.9ポイント増えたが、母親の増加率の方が大きかった。
「自分の価値観や考え方に一番影響を与えている相手」もかつては父母で大きな差はなかったが、24年は母親が41.2%と、父親よりも21.2ポイント高かった。
博報堂生活総研の酒井崇匡上席研究員は「子どもの相談相手として母親が対応できる領域が広がった。共通の趣味を持ち、一緒に出かける相手として娘だけでなく息子からも選ばれる存在になった」と指摘する。
交友面では若者の恋愛離れが進む。「デートをする相手がいない」と答えた若者は67.3%となり、前回調査よりも22.1ポイント増えた。「今一番欲しいもの」ランキングでは、「恋人」は5位から10位へと順位を下げた。社会の息苦しさや将来不安を反映し、「お金」や「時間」「自由」が上位に入った。
「自分にとって居心地のいい組み合わせ」「落ち込んだときに一番そばにいてほしい相手」ともに、1994年は「異性」が多数派だったが、24年はいずれも20ポイント以上減少した。「同性」は両方の問いで過半数を占め、異性を逆転した。
酒井氏は「恋愛の優先度は低いが、同性の友人とは少人数でも緊密な関係を作ろうとしている。SNS(交流サイト)の相互監視的な側面やコンプライアンス意識の高まりもあり、本音を気兼ねなく話せる同性の友人との関係性を重視しているのではないか」と分析した。
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