ENECHANGE(エネチェンジ)は9日、電気自動車(EV)充電事業の会計処理を巡る問題を受けて提出を延期していた2023年12月期の有価証券報告書を関東財務局に提出した。非連結としていたEV充電事業の特別目的会社(SPC)を連結範囲に含めたことで24年2月に公表した決算に比べて赤字幅が拡大し、14億円の債務超過になった。
連結売上高は前の期比17%増の43億円、最終損益は49億円の赤字(前の期は13億円の赤字)だった。2月に公表した決算に比べて売上高は23億円減り、最終赤字幅は37億円拡大した。SPCに対するEV充電器の販売がグループ間取引とみなされ売上高が相殺された一方、内部利益の相殺やEV事業の減損、監査費用などで赤字が増えた。
債務超過になったため、同社は改善計画書を東京証券取引所に提出する必要がある。24年12月末の純資産をプラスにすることが東証グロースの上場維持の条件だ。
同社は東証から上場廃止基準に該当する恐れがある「監理銘柄(確認中)」に指定されていた。有価証券報告書の提出を受けて、東証は9日、監理銘柄指定を10日付で解除すると発表した。
エネチェンジは3月、会計監査人のあずさ監査法人の指摘に基づきEV充電事業のSPCを連結対象にすると発表した。この会計処理を巡る外部調査委員会の調査が難航したことなども影響し、有価証券報告書を提出延期後の期限の6月28日までに出せなかった。その後に監理銘柄に指定され、最終期限の7月10日までに提出できなければ上場廃止になる可能性があった。
エネチェンジは提出を延期している24年1〜3月期決算についても7月16日までに提出する方針だ。外部調査委の報告書を受けた再発防止策は7月末の公表を予定している。
会計処理問題を巡っては、あずさがエネチェンジのEV充電事業の会計処理に不正があったと指摘したが、外部調査委は不正を認めなかった。これを受けてあずさは「財務諸表の重要な虚偽表示の原因となる経営者の不正があった」と反発している。
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