発達障害を理由に不当に雇い止めをされたとして、北海道大学(札幌市)の元職員の女性が地位確認を求めた訴訟の口頭弁論が10日、札幌地裁(吉川昌寛裁判長)であり、本人尋問が行われた。
原告側の書面などによると、女性には広汎(こうはん)性発達障害がある。話の内容を理解することが難しい場合や、パニックに陥る場合があり、物忘れをする傾向もあるという。
女性は障害者雇用の枠で北大に採用され、2021年4月から勤務。雇用期間は1年間で、5年までは更新が可能な契約だったが、翌年2月に北大から契約を更新しないと通告された。「毎月の同じ業務をいまだに覚えることができず間違える」「感情のコントロールが難しい」といったことなどが不更新の理由とされた。
原告側は「障害を理由として女性を差別したものだ」と主張。「北大が障害に配慮せず、業務上の指示や評価を行ってきた」とも訴えている。
この日は女性の元上司が北大側の証人として出廷し、「女性が周囲に障害を知られたくないとする中で、できる限りの配慮をした」とした上で、「女性が指示に従わないこともあり、この職場で働くのは難しいと思った」と話した。
女性は「北大には、障害のある職員への対応を現場に丸投げするような体制を改善してほしい」と訴えた。(上保晃平)
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